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現場主義を貫いて

私中塚さちよは、2007年の初当選以来、現職世田谷区議会議員50名で唯一の「介護の現場」出身の議員として、区政の場で仕事をさせていただいています。
高齢者や障害者の方々の介護や支援に長年携わってきた中で、法律や制度の壁、人材不足や処遇改善など、現場の努力だけでは解決できない多くの問題に直面。政治の力で介護現場を良くしていきたいと、区政に身を投じる決意をしました。現場主義を貫き、現在も民間事業所でケアマネジャーの仕事を続けています!
この仕事では、介護を必要としている人やその家族の相談に乗り、必要な介護サービスや制度の調整を行います。困っている人の役に立てる喜びがあり、加えて、福祉制度の問題点を直に見つけ、改善提案を行うなど議会活動に生かしています。
さらに、年金・介護・医療などの社会保障のあり方をどう考えていけばよいのか、また人権尊重、共生社会を実現していくために何がバリアとなっていて、どう変えていけばよいのかといったことを、机上の空論ではなく生活者としての実体験、当事者目線で考えることにも役立っています。
現場の仕事は、議会活動と車の両輪で私にとって欠かせない仕事の一つであり、現場に関わり続けることをこれからも大切にしていきたいです。

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がん治療の経験を力に

体調不良をおして挑戦した2015年の区議選後、子宮頸がんであったことが発覚。手術ではがんが取り切れない状態まで進行していました。
幸い、2か月間の放射線・抗がん剤治療が奏効し、周囲の理解や支援もあって仕事に復帰することができました。この経験を通じ、「働くこと」の意味や価値、社会に参加し役割を持つことの大切さを痛感しました。
一方で、議会では同世代の女性議員の多くが出産・育児を経験し、母親たちの代弁者として期待され活躍していました。がん治療の後遺症で妊娠、出産が不可能になり、「女性議員」に期待される政策に当事者として関われないことは無念で忸怩たる思いです。
様々な事情や考え方から、生涯未婚、子どもを持たない人の割合が増加しているにもかかわらず、区政の場では子どものいない人生を歩む女性たちが抱える不安や苦悩、社会で受ける圧力や障壁には、全くといっていいほど目が向けられていないと感じています。
がん罹患経験を持つ自治体女性議員ネットワークの呼びかけ人となる
多様な困難を抱える人々に思いを馳せ、自身もその当事者として一石を投じていけたらと考えています。

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「草の根からの民主主義」の理念を区政に

進行がんは再発や転移の可能性も高く、しばらくは毎月の検査も欠かせない状況でした。
国政では野党が迷走し、2017年には衆院解散を受け、所属する民進党(旧民主党)が事実上の解党。この先どうなってしまうのか、これまで通り仕事を続けていけるのかと不安な日々を過ごしていました。
しかし、衆院選前夜。枝野幸男氏が立ち上げた「立憲民主党」の旗の下に仲間たちが集まると、この世田谷でも、地域の皆さんが「もう一度、野党に期待したい」と、降りしきる雨の中大勢かけつけ、必死に応援される姿がありました。
逆境に負けることなく奮い立つ力を、この時区民の皆さまからいただいた思いです。
2018年1月、長年所属してきた民進党を離れ、立憲民主党に参加を決めました。この地域(東京6区)では、小選挙区での当選を果たした落合貴之衆議院議員と二人での新たなスタートとなりました。
現在は世田谷区全体で、区議会議員7名、都議会議員2名と衆議院議員2名の総勢11名に所属メンバーが増え、区政においては保坂展人世田谷区長とも連携し、政策の実現に向けて協力し取り組んでいます。

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いのちと暮らしを最優先に

がん患者のサポートセンター「マギーズ東京」研修
がん闘病と職場復帰を経て、今私は新たなライフワークに取り組んでいます。
がんや病気になってもその人らしく、できる限り仕事や家庭生活を継続できるよう身近な地域でバックアップしていきたいと、専門職としての研修を受け、サポート活動に着手したところです。
また、ライフスタイルが多様化する中で、いざという時に頼れる家族がいない人も少なくありません。どのような境遇にある方に対しても等しくその生命と暮らしを守るための、医療や福祉に関わる法的な課題はいまだ解決には至っていないのが現状です。
少子高齢社会の現実と向き合い、行政・現場が一体となって早急に手を打たなくてはなりません
西日本豪雨災害ボランティアとして出動(岡山県倉敷市真備町)
子ども食堂でのお手伝い
さらに、家庭での虐待で命を落とす子どもが後を絶たない現状に、傍観者でいてはいけないと強く感じています。子育て経験がない私にも、地域で孤立する親や子どもたちに歩み寄り、助けになれることがないかと、地域で子育て支援に関わる方や専門職の方に学びながら、その輪を広げていけるよう奮闘しています。
一つ一つの小さな実践を、政策立案や議会での提言に結びつけていけるよう、力の限りを尽くして取り組みます。
仲間や他会派の議員とも切磋琢磨しながら、
区政には私にしかできない仕事があると信じて、
これからも前進を続けてまいります。
少子化、人口減少の現実を見据えて
———岸田首相が「異次元の少子化対策」を掲げて、話題となっています。中塚さんとしては、政府の取り組みをどうみていますか?
中塚 これまで政治が行ってきた「少子化対策」は、子どもを増やす効果という観点からは失敗だったと言わざるをえないのではないでしょうか。そもそも、子どもを産んで増やすことを国策として取り組もうとする自体、どうなのかと思っています。
もっとも、子どもが増える増えないとは関係なく、「子育て支援策」は大事です。数少ない子どもの育ちを応援し、産んでよかった、生まれてきてよかったと思える社会を作っていきたい。
子育て支援策は、政府以上に、世田谷区議会でも子育て真っ最中の議員が多数いて熱心にとりあげているので、ちょっと遠慮というか、自分はもう少し違うところに光を当てていきたいと考えています。子どもやその家庭は私が専門とする社会福祉の対象でもあるので、虐待をなくす、その前に、望まない妊娠をなくしていきたい…そうした政策提案にはこれまでも特に力を入れて取り組んできました。
一方で、少子化対策といったときに心配な点もいくつかあります。
たとえば、不妊治療の拡大についてですが、私は37歳で結婚した際、党の集まりで報告すると、間髪入れずにある国会議員が「不妊治療のいいクリニックがあるから紹介するよ!」と。あ、落合さんではないですよ! 親切心で言ってくれたのでしょうが、ハラスメントですよね。
助成自体は良いことですが、不妊治療について簡単に考えてほしくない。治療にはお金だけでなくいろんな負担や制約があることを、女性だけでなく男性にもちゃんと知ってほしいです。私のように病気で妊娠不可能な人や、本音では子どもを希望しない人もいます。それに、皆がよい結果が出るものでもないので、フォローや心のケアが絶対必要です。
養子縁組やフォスタリング事業(里親制度)なども含めて、さまざまな「家庭のかたち」で、生まれてきた子どもを大切にできる社会にしたい、そう思っています。
———福祉や支援を必要とするお子さんやご家庭が、世田谷区でも増えている印象がありますね。
中塚 実数としては増えてはいないのですが、障害福祉サービスの利用者は増加しています。今の時代、親や家族だけが介護を抱えるのには限界がきている。
本人も家族も、それぞれが自立、独立して自己実現できるよう、あらゆる障がい、医療的ケア児者などへの公的な支援を強化する必要があります。「親亡きあと」対策よりさらに進めて、親の介護を前提としない「親あるうちから」対策と私は呼んでいます。
そして、障がいがある/なしにかかわらず、生まれたばかりの子どもから高齢者まで、すべてのいのちは等しく価値あるものと私は考えています。
周産期医療センター、特別支援学校、精神科病院、自立生活センターなど、数え上げればきりがありませんが多くの歴史と資源がある世田谷でまず、すべてのいのちを大事にし、差別のない社会を実現する。
世田谷でこれができずに、この国で地域共生社会の実現など考えられません。区議会で、党派を超えて取り組んでいきたい課題です。
豊かなシニアライフの実現
———立憲民主党では「誰ひとり取り残されない社会」を政策の柱に掲げています。
———取り残されそうな人に光を当てることを、中塚さんも取り組んで来られたと思いますがいかがですか
中塚 特に女性で生涯未婚者やシングルマザー、非正規就労の方々についてはとても気になります。私自身も、一人暮らしで非正規雇用の時期がありましたので。
日々の生活で精一杯で、貯金もない。年金をもらえるまで働き続けるにしても、生活費が稼げるかどうかわからない。しかも年金は、支給開始年齢がどんどん先送りに。60歳が65歳、65歳が70歳に…? こうした状況について、「そろそろ定年、年金に手が届くと思ったら届かない。蜃気楼のようだ」とぼやいた方もいらっしゃいました。

70歳まで仕事があるのか?55歳以上の方、1,000人以上も三茶おしごとカフェやハローワークに登録してお仕事探しているそうですが、ほとんど決まっていない。
体力的にそこまで働けるかどうか?年金も、男女で賃金格差があるから女性は少ない。国民年金だけで生きていけるのか?不安しかありません。
年金について、立憲民主党は最低保障機能を強化するといっています。必ず実現してほしい。

———物価が上がっていますから、年金の日々の支給額に対する関心は更に高まってきています。また資産がある人にとっても、物価上昇が続いたら、貯蓄額のその価値が年々下がっていくということですから、気が気でないと思います。
中塚 落合さん、年金なんとかしてください!…
話を戻しますが、東京は家賃が高すぎます。独身女性だと、世田谷で家を買うなんてよほどの人以外は不可能ですよね。住宅ローン減税が好評で延長されますが、共働きのペアローンが増えているようです。
私だって独身だったらローンなど審査が通らないですよ。従来の中間層向けの政策では、対象にならない、恩恵がないと感じる人が増えている。
政府の考える中間層とか多数派とかいうのと、現実がズレてしまっているんです。
持ち家がなくてもすべての人が生涯安心して生活できるよう、公営住宅、民間も含めた空き家活用など、住まいの確保に取り組んでいきたいです。私も、国民年金、子どももなく、老後問題は人ごととは思えません。
———長年介護の現場で働いてきた中塚さんだけに、老後問題には人一倍関心が高いですよね。
中塚 はい。老後の三大不安は「お金・健康・孤独」といわれていますが、楽しい近隣との関係、パートナーづくりも含めて、人とのつながりはやはり重要ですよね。人生100年時代、少子化対策のためじゃなく、満を持しての、シニア世代の婚活支援があってもいいんじゃないですか。心豊かな人生、楽しい老後を過ごすための人間関係づくりがとても大切だと思うんです。
私の祖父は祖母と早くに死別し、寂しかったのでしょう、再婚して離婚して、最後は一人暮らし。 町会長を引き受けたり、近所づきあいを大事にしていたようです。家で急変したとき、向かいに住む方がすぐ駆けつけて、連絡をくれました。いわゆるピンピンコロリの亡くなり方でしたが、誰にも発見されずに時間が経っていたら、行政の仕事も増えていましたし、家族としても悔いが残ったと思います。
働く世代の格差是正をめざして
———子ども、障がい、女性、高齢者などについて、中塚さんの考えをうかがってきましたが、老後の安心を区が支えていくためにも財源、税収の確保は避けて通れないです。そのあたりはどうお考えですか。
中塚 世田谷区では中高所得層を中心に、ふるさと納税をする方が増えました。確かにそれによって、区の税収は何十億と減っていますが、ふるさと納税をして節税したり、食材を調達したりと生活防衛する区民を責めることはできないと思うんです。
コロナ下の巣ごもり需要で返礼品に注目が集まったといわれていますが、今後も増えると思っています。
一番の問題は、中高所得層でさえ多くの区民が、税金が高い、物価も高い、少しでも生活を楽にしたい、なんとか工夫しなきゃと感じている今の政治経済状況にあるのではないでしょうか。その責任は、政治にあります。
———現役世代が貧しくなっている。アベノミクスが始まった年から物価上昇率が賃金上昇率を上回る状況が続き、働く人たちの実質賃金が低下していることを僕はずっと指摘してきました。
———少子化が進み労働人口が減って、社会保障費の負担が増えているからこそ、現役世代の賃金を上げることは目の前の優先課題ですね。
中塚 日本人は勤勉、仕事中心です。「望んで」という方ばかりではないかも知れませんが、働きたいという人が多いと思います。
にもかかわらず、人手不足が続いている。介護、建設、飲食、運送業などが著明ですね。私はものづくり産業の労働組合にもご支援をいただいていますが、ものづくりでも、金属加工の工場などきつい現場では人が集まらず、常に求人を出していると聞いています。
働きに見合った賃金が得られるようにしなくてはならない。現役時代の収入を増やすことは非常に重要です。現役世代の格差がその子どもの格差、加えて老後の格差に直結しますので。
———格差是正は重要だと岸田総理も言っていたものの、「所得倍増」の目標が「資産所得倍増」に変わったりと、結局、後ろ向きな姿勢が続いています。
———区議の中塚さんとしてはどんなことができそうですか。
中塚 これまでも「官製ワーキングプア」を生まない対策として、公契約条例※の制定、労働報酬下限額の引き上げなどを議会を通して求め、実現してきました。
私のいる介護業界でも、地域の介護と雇用を担っている小規模事業者が本当に苦しい。経営者だけでなく労働側の声も区の産業政策に反映することとか、自営業やフリーランスへのセーフティネットなど、取り組むべき課題がたくさんあります。
※公契約条例…労働者等の適正な労働環境等を確保することを目的に、自治体が発注する公共工事・業務委託等に従事する人の賃金・報酬下限額を設定し、自治体・受注者の責任等を契約事項に加えることを定めた条例。
生きる喜び 感じる街に
———専業主婦の方や家庭の事情、病気や障害、心の病などでどうしても働くのが困難な人もいる。そういう人たちも含めて安心できる社会をどうつくっていくかも、自治体や地域の課題と考えますか?
中塚 働くということは、収入を得ることだけでなく、地域社会や家庭で役割を果たすことも含めてその人の働きと考えています。
重度の障がい者や、難病、がん闘病中、ひきこもりの方…どんな方も、自分では気がつかないだけで、生きていることで必ず何かの、あるいは誰かの役に立っています。
もし亡くなってしまったら、悲しむ人が一人もいない人などいないと、断言できます!
誰かに必要とされていると感じることが、多くの人にとっての「生きる喜び」ではないでしょうか。とにかく誰かとつながっていることが大事です。
ちょっと話はそれますが…。私には、仕事を辞めて長年ひきこもっていた義弟がいました。深夜に不慮の事故で亡くなってしまったのですが、葬儀に彼の通っていた福祉事業所の方々が来てくれたんです。事故の翌朝も、彼が来るのを待っていた人たちがいたのです…!
通所はかなり昔にやめたきりと聞いていたので、また行っていたとは知りませんでした。
そこで彼が作っていたものを遺品として受け取りましたが、その中に名刺がありました。名刺を作って、人とつながろうとしていたんですね。
義弟はひとりではなかった。支援してくださる方々がいて、もう一度やり直そうとしていたとわかり、彼は決して不幸な人生ではなかったと安堵するとともに、不測の死が本当に悔しく、惜しまれました。
———義弟さん、これからという時に…。残念でしたね。
中塚 様々な事情で、仕事を失った方、今まだ充電中の方など、いろいろな方の再チャレンジを後押しできるような、そんな社会をつくっていくことも私たち議員の役割です。
4期16年、世田谷区議として多くの仕事をさせていただきましたが、まだまだ道半ばですね。本日お話ししてきたことを含めて、次の期にもやりたいことがたくさんあります。
幸い、がんの治療もすべて終わって、主治医の先生からも「もう治った」と言っていただけました。
———中塚さんもまさにこれからですね。
どうかみなさん、これからも中塚さちよ区議の活動を応援してください!
僕からも、よろしくお願いいたします。
落合議員、ありがとうございました!
立憲民主党

世田谷区議会議員

なかつか
中塚 さちよ

住所:〒156-0054 世田谷区桜丘2丁目18-16 リュクス千歳船橋701
tel : 03-3429-6078   
fax : 03-4586-6343
メール:nakatsukasachiyo@gmail.com
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